研究背景
本研究において、筆者は以下のような視点を採用している。すなわち、アニメは、我々の日常生活を行き交うありふれた事柄、そして、常に変化する社会におけるアイデンティティの性質をつかみとるための有益な媒体であるという視点である。いわば、アニメは現代の日本社会を映す「鏡」であり、今日の「現実」あるいは「ゆがんだ現実」を理解するための洞察へと導く術を我々に与えていると考えられるのではないだろうか。このことを示すために、戦後から現在に至る時代の全般にわたって(1950年代から現在までの)、アニメと女性たちのイメージとの関係性を探求していく。これまでなされてきたさまざまな研究が示すところは、戦後の日本の女性たちが、その地位や人生の機会といった点について、大きな変化を経験してきたということである(Kanai, 1996:23; Ishiwata, 1998:85; Sato, 2003:115)。そこで、本研究における主要な問題点として、(1)日本の戦後の女性たちに関するイメージに変化は起こってきたのかどうか、(2)もしそうだとしたら、いかなる形のものであるのか、という問いを設定し、アニメの内容分析を通してそれらを検証していく。